介護の仕事をしていると、よく聞く言葉があります。
「介護はね、そうはいかないのよ。」
最初はその言葉に違和感を覚えました。
けれど、いつの間にか自分の口からも出てくるようになっていたのです。
気づけば、施設で働いていた頃の“施設の感覚”が、自分の中にしっかり染みついていました。
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施設で働く人たちは、本当にすごい。
限られた人手と時間の中で、何十人もの生活を支え続けています。
だからこそ、「安全」や「効率」を優先せざるを得ない。
それは当然のことです。
けれどその中で、“守ること”に慣れすぎて、“生活すること”を忘れてしまう瞬間がある――
そんな気がするのです。
「危ないからダメ」
「施設だから無理」
その言葉は利用者を守るためでもありますが、
同時に“その人らしい時間”を閉じ込めてしまうこともあります。
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在宅介護と施設介護の違いは、
“自分の家で同じことをするかどうか”だと思います。
デイサービスでは、季節のちぎり絵や塗り絵、工作など、
多くの施設で共通のレクリエーションが行われています。
もちろん、楽しんで取り組まれる方もいますし、
手先を動かすことや思い出を語るきっかけにもなります。
ただ、ふと立ち止まって考えてみたいのです。
自分の家では、どんな時間を過ごしているだろう？
美味しいご飯を食べ、季節の景色を眺め、
映画を観たり、カラオケで歌ったり、
人と話し、笑い合ったり――
それが、私たちの日常の“生活”ではないでしょうか。
介護が“特別な場”になるほど、そうした自然な感覚が少しずつ薄れていってしまう。
そこに、私たちはもう一度目を向けたいのです。
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施設を離れても、自分の中にその感覚が残っていることに気づきました。
利用者の希望より安全を優先したり、「仕方ない」と思って考えるのをやめてしまったり。
でも、それに気づけた瞬間、介護は少しずつ変わり始めます。
「施設だから無理」ではなく、
「どうすればできるか」を考える。
その小さな一歩が、利用者の笑顔や現場の空気を確実に変えていきます。
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介護は“お世話すること”ではなく、
“その人の生活を支えること”。
もし自分の家族だったらどうするか。
その視点を忘れずにいたい。
施設の空気を嫌だと思った人ほど、その空気を変える力を持っています。
あなたの中に残るその“違和感”こそ、介護を“管理”から“生活”へ戻すための原動力です。