研究計画書 第1.5版
”膵がん早期診断プロジェクト”の診療情報を用いた、十勝地域の膵発癌実態ならびに膵がん治療成績に関する多施設共同後方視的研究
研究実施責任者 首藤 龍人
1.背景と目的
膵臓がん(以下,膵がん)は初期段階では症状がほとんど無いため、異変に気付いた時には進行している場合が多く, その生命予後は不良であり,癌の部位別の統計では死亡数が多く、2018年には肺がん,大腸がん,胃がんに次いで第4位となっている。 北海道では膵がんで死亡する方は全国と比較して約1.2倍(標準化死亡比)と多く、十勝地域でも同様であるが,殊に帯広市の男性では約1.4倍と非常な高値である。 膵がんは早期発見が困難であり切除率自体が低いのが現状であるが,膵がんを早期, すなわち切除可能な時期に診断することを目的として2018年に”膵がん早期診断プロジェクト”が始動した。 これは日々の健康管理に携わっている医療機関(かかりつけ医)と精査を行う医療機関(連携医療機関)とが 協力することによって膵がんの早期診断を可能とする試みである。 本研究は各連携医療機関が保有する同プロジェクト対象患者データを統合し,十勝地域における膵がんの 実態を明らかにすると共に同プロジェクトの有効性を検証することを目的とする。
2.膵がん早期診断プロジェクト
”膵がん早期診断プロジェクト”は帯広市医師会が主導し,”膵がん早期診断プロジェクトコア会議(コア会議)”が実務を行い, ”膵がん早期診断プロジェクト運営委員会(委員会)”が運営調整を行っている。 同プロジェクトでは,かかりつけ医と協力してハイリスク患者への検査勧奨,腹部超音波検査で偶然発見された膵癌間接所見(膵がんが疑われる所見)を有する患者の拾い上げを行い,連携医療機関では超音波内視鏡(EUS),磁気共鳴胆管膵管撮影(MRCP),さらに段階的に膵液細胞診,超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診生検(EUS-FNA)を行うことによって早期の膵癌診断を可能とし,膵がん治癒切除率の向上,膵がん生存率の向上を目指している。
3.研究方法及び研究結果の公表
連携医療機関のコア会議メンバーは各医療機関で収集した,同プロジェクト登録患者情報を匿名化して,研究事務局に送付・集積する。
4.予想される利益,不利益、リスク
同プロジェクトは日常診療の範囲内の医療行為であり,本研究はその結果に対する観察研究である。本研究によって患者に直接の利益・不利益は生じない。5.研究実施期間
研究許可後から,2028年9月30日まで
6.個人情報の保護,人権に対する配慮
研究実施に係る情報は,受療医療機関以外では個人を特定できないよう,事務局送付前に連結可能匿名化を行い,管理表は各医療機関の責任者が厳重に保管管理する。 事務局では,患者の個人情報とは無関係の番号を付して管理し,患者の個人情報保護に十分配慮する。また、研究実施責任者等が本研究で得られた情報を公表する際は、研究対象者を特定できる情報を含まないようにする。 本研究にあたっては,各連携医療機関の規程に従い,倫理委員会の承認を得たうえで実施する。7.同意の取得方法
患者への侵襲や医療行為への介入もなく,診療情報等の情報のみを用いた後方視的観察研究であり,オプトアウト方式とする。各連携医療機関は院内掲示,ホームページ上などで本研究の研究目的を含めて情報を公開し、更に拒否の機会を保証することとする。
8.研究実施体制
研究代表者 | 帯広市医師会 会長 稲葉秀一 | |||
研究事務局 | 帯広市医師会 事務局 | |||
所在地:帯広市西7条南7丁目3番地2 | ||||
電話 :(0155)24 – 2802 | ||||
FAX:(0155)25 – 4464 | ||||
E-mail:obimed01@lilac.hokkai.net | ||||
研究実施責任者 | 帯広中央病院 首藤 龍人 | |||
研究参加施設(連携医療機関) | ||||
帯広厚生病院 消化器内科 | 松本 隆祐 | |||
北斗病院 消化器内科(非常勤) | ||||
川崎医科大学附属病院 消化器内科 | 河瀬 智哉 | |||
帯広第一病院 消化器内科 | 鈴木 郁 | |||
帯広協会病院 消化器内科 | 伊志嶺 優 | |||
帯広中央病院 消化器内科 | 首藤 龍人 |